デッキガイド ミッドレンジオリンポス

 烈火の軍狼の追加から3週間ほど経ちました。最近のランクマッチではトール(アスガルド)が一番人気のようです。前回のエントリで触れたように烈火の軍狼で追加されたカードで抜けて強いカードがオリンポスとアスガルドにあったためこの2つの勢力が他の3勢力に比べ一段階以上強いわけですが、このオリンポスとアスガルドの直接対決で有利なのがアスガルドであるためアスガルドに人気が集中しているように思います。

 アスガルドの中のバリエーションとしてガーディアンにトールを選んでいる人とフレイヤを選んでいる人とがいますが、上の方の人はだいたいトールですね。単純にガーディアンパワーの性能がトールのほうが優秀ですからね。

 

 …と、いうわけで今回のエントリはミッドレンジオリンポスのデッキガイドです。話の流れ的にはどう考えてもアスガルドのデッキガイドを書くべき流れに見えますが、ぶっちゃけ私自身があんまりアスガルドを回していないという事情があるためオリンポスのデッキガイドです。

 

 

 

どんなデッキ?

 スタッツの優秀なミッドレンジ向けユニットで盤面を作り、有利になったら速攻ユニットや直接火力を連打して押し切る攻撃的なミッドレンジデッキです。烈火の軍狼が追加されてからはアスガルドにその地位を譲ってしまったものの、烈火の軍狼追加前は支配的な強さを誇ったデュエルエクスマキナの1弾環境を代表するデッキだと言っていいでしょう。

 一応デッキリストも貼っておきます。

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 ちなみにこれは私が自分用にチューンした構成であって典型的な構成というわけではないので注意してください。《エルフの狩人》と《ピクシーの女王 ターニア》を抜いて《ケンタウロスの軽装騎兵》と《ケラウノスの制裁》に差し替えるとだいたい典型的な構成になります。

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デッキの強みと弱みは?

 最大の強みとして挙げられるのはガーディアンパワーの優秀さです。カードの総枚数が少なく一部の優秀なニュートラルカードの影響の大きい1弾環境では各勢力間のカードの強さの差はそれほど大きなものではありません。そうなるとガーディアンパワーの強さの差というものが大きな差として浮かび上がってくるわけです。その点、ハデスのガーディアンパワーは明らかに全ガーディアンの中で最強です。盤面を効率的に処理でき、最後の数点の押し込みにも使える。有利なときでも不利なときでも状況を選ばず使え、カードアドバンテージを得ることもできます。特にスサノオと比べると涙が出るほどに優秀ですね。

 また、相手ライフを直接狙う攻撃的なゲームプランを持つことも大きな強みです。これは中盤までに一定以上の優位を得てしまえばその後の相手のパワーカードを正面から相手する必要がないということです。また、ゲームプランが攻撃的で自分本位であるということは相手によって採用しているカードの価値が大きく変動することなく安定した戦いをできるということでもあります。

 一方、最大にして致命的な弱みはアスガルドに対して相性が悪いということですね。アスガルドはランクマッチで最も数の多いデッキですから、それに対して不利ということはかなり大きな欠点と言わざるをえません。

 

 

ミッドレンジは最強の戦略である

 あくまで現在の1弾環境では、というものですが、デュエルエクスマキナにおいてミッドレンジは最強の戦略です。その理由は以下の3枚のカードの存在です。

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 まだカードの総枚数が少なく変化球タイプの戦略がほぼ成り立たない現在、スタッツの優れたユニットを叩きつけ続けるのは最高に優れた行動になります。中でも《魔蝸牛 デーモンスネイル》《彷徨えるゴーレム》《離魂術師 サナム》の3枚はニュートラルでありながらカードプールのどのカードよりもそのマナ域でのスタッツが高く、極めて強力です。これらのカードをすべてデッキに組み込んで自然にデッキを組むとミッドレンジになりますから、ミッドレンジこそが最強の戦略なわけです。

 これら3枚は適当にデッキに組み込んで残りを整えてやればどの勢力でも形になるほどに強力ですし、明確な理由がないのであれば必ずデッキに入れるべきです。

 また、相手の《彷徨えるゴーレム》を損せずに対処できる《森獣の要撃》も定番の1枚となっています。《森獣の要撃》自体はあまり強いカードではないのですが、それでも非常に採用率が高いあたりに《彷徨えるゴーレム》の現環境での影響力の高さが窺えますね。

 

 

ミッドレンジオリンポスの回し方

 過剰に攻撃的にならず、中盤までは盤面での優位を得ることを重視して動くのが大事です。

 このゲームは盤面を制圧されると攻撃を通すことが極めて困難になります。一方で盤面を制圧してしまえばどんどん攻撃が通り勝利に近づくことができます。そのためまずは盤面を最優先に考え、ある程度盤面で優位に立ち勝利までの道筋が見えてきてからライフを攻めることを考え始めるようにするといいです。

 そして盤面の優位を得るためにマナをいかに効率的に使うか、つまりテンポを重視したプレイをするようにしましょう。例えば相手の1/1を殺すためにガーディアンパワーを使うよりも手札の2/2を展開したほうがマナを効率よく盤面の優位を得るために使えていることになります。相手の盤面を処理することに意識が向きすぎてテンポの悪い行動を取ってしまうというのがありがちなミスのパターンなので気を付けましょう。

 テンポの優位は盤面の優位に繋がり、盤面の優位はライフの優位に繋がる。このことを意識するようにするとぐっとプレイが良くなると思います。

 ミッドレンジオリンポスはAoEを持たず不利な盤面を逆転することが難しいデッキなので、あとは直接火力だけで勝てるという状況になるまで盤面の優位を手放してしまわないように!

 

 

《彷徨えるゴーレム》はどこに出すべき?

 《彷徨えるゴーレム》はなるべく後列の左右に出すべきです。

 まず前列に出してしまうと次のターンに《サナム》が出しづらくなってしまうので、前列は避けたいです。そして中央に出してしまうと同じ横列にユニットを出しづらくなってしまいますが、左右に出せば反対側の左右が《ゴーレム》の影響を受けず気軽にユニットを出せる場所となるため、左右に出すべきです。

 もちろん常に後列左右が正解というわけではなくお互いのユニットの配置によってどこに出すべきかは変わってきますが、《ゴーレム》を後列左右に置けるようにそれまでのターンで後列中央にユニットを出さないようにしておくというのも大事です。

 

《魔蝸牛 デーモンスネイル》はどこに出すべき?

 これは自分でも確たる答えが出ていない問題です。

 まず前列には出したくありません。前列に酸溜まりができてしまうと《サナム》を出す上で邪魔になるからです。

 では後列の中央と左右のどちらに出すべきかですが、後列中央は最もユニットを出したくない場所なので酸溜まりができて最も都合のいい場所に思えます。では後列中央が正解なのか。…というと微妙で、まず《デーモンスネイル》が必ず死んでくれるとは限りません。最初に《デーモンスネイル》を後列中央に配置し、うっかり《ゴーレム》を出したいターンまで生き残ってしまうと《ゴーレム》を後列左右に出す障害となってしまいます。また、酸溜まりの上は最も《エルフの地術士》を出したい場所です。そして海洋の上はユニットを出したい場所です。後列中央は出来ればユニットを出したくない場所なので、そこがユニットを出したい場所になってしまうと不都合です。

 というわけで、総合すると後列左右がベストではないかな? と思っています。

 ちなみに2体目を出すなら後列中央がいいと思います。後列左右の両方が酸溜まりになってしまうと《ゴーレム》のベストプレイスがなくなってしまいますから。

 また、これはミッドレンジオリンポスでの話であって、例えばこれが氷河アスガルドだったなら前列に出して酸溜まりを氷河に上書きした上で《ドワーフの戦士》に繋げたいといったふうに判断が変わります。

 

相手の酸溜まりの前にHP2のユニットを出さないようにしよう

 相手は酸溜まりを《エルフの地術士》で上書きしたいと考えています。相手の酸溜まりと同じレーンにHP2のユニットを配置してしまうと酸溜まりを上書きした上でこちらの攻撃を受け止めることができ大変おいしい思いをさせてしまうことになります。相手の酸溜まりとレーンをずらして配置すれば相手からすると酸溜まりの上書きとこちらの攻撃のブロックのどちらかしか選べなくなってしまいますから、HP2のユニットは相手の酸溜まりと違うレーンに出すようにしましょう。

 

《海侵神 アンピトリテ》で攻撃する前に《エルフの地術士》を出そう

 そのターンに特定のマスに《エルフの地術士》を出すことが確定しているなら《アンピトリテ》で殴る前に先に出しておくようにしましょう。《地術士》を出す予定の場所が《アンピトリテ》の能力で海洋になってしまうと損をします。

 

地形作成の1/1は放置するのも手

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 特に相手の場の地形が1つしかない場合、地形生成の1/1は有利交換が取れるからといって殺してしまわず放置するのもひとつの手です。この1/1が生き残っている限り相手はその下にある地形を活用することができません。

 ちなみに同様の能力を持つ《エルフの地術士》は打点が高いので放置しづらいです(笑)

 

 

 

各マッチアップでの立ち回り

 

対オリンポス(同型戦)

 決まり手は主に以下の3つです。

 

①序盤で差が付く

②中盤のマウントからの攻め切り

③盤面制圧・片方の息切れ

 

 ①は片方が1枚も引けていないのにもう片方だけ《デーモンスネイル》を2枚引いてブン回っていたり、あるいは片方が事故ってしまったりというパターンですね。上でも書いたようにミッドレンジオリンポスはAoEを持たず一度不利になると逆転しづらいデッキですし、また一度有利になったときにそれを活かして素早く攻め切るのが得意なデッキでもあるので、同型で序盤に差が付くとそのままゲームが決まってしまう場合が多いです。

 

 ②は序盤にお互い同じ速度で動き合い中盤戦にもつれ込んだ場合のゲーム展開です。まず片方が更地に《サナム》など打点の高いユニットを出し、もう片方がそれにユニットを合わせて対抗しようとするものの、除去で突破されてダメージを通され、そこから攻める側に回ったプレイヤーの手札から除去と速攻が途切れなく連打されることでゲームが決まります。だいたいこの展開で勝つのは先手プレイヤーです。

 

 ③は②のパターンで攻める側に回ったプレイヤーが除去と速攻を連打できなかった場合に起きる展開です。微妙にライフが削り切れず逆転を許してしまうわけですね。

 

 この3パターンのうち体感的に最も頻度が高いのは②で、実はこのマッチはお互いが上手いプレイヤーだとただの先手ゲーなのではという気がしています。後手で殴り合うと殴れるターン数が少ない分不利なので③のパターンを目指さざるをえないものの、相手の引きがある程度以上に強いと②のパターンにされてしまいますから。

 まあなんにしろこのマッチは特別な立ち回りは要求されないんで基本通りにテンポ負けしないように心がけたプレイをするだけです。

 一応ひとつだけ対オリンポスならではの立ち回りを挙げると、相手の場に海洋がひとつもないときに出てきた《海侵神 アンピトリテ》はユニットを合わせるのではなく《ハルパーの追撃》で処理したほうがいいです。海洋があるかないかでかなり打点が変わってきます。

 

 

アスガルド

 不利なマッチです。こちらの序盤から軽いユニットを並べて攻めていくコンセプトに対して《バルドルの閃光》《グングニルの穿通》というAoEが突き刺さり、また積極的にライフを攻めても《療法手 シギュン》《ドワーフの炊事番》で回復されてしまいます。

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 対アスガルドではAoEで流されてしまう軽いユニットは価値が低いので引きすぎてしまわないことが重要です。マリガン時、2コストユニットは1枚だけ残してあとは戻してしまっていいでしょう。速度で圧倒できず太さで盤面を取ってそこから攻め切ることを目指すことになるので、《ゴーレム》はマリガンで残します。また、後手のときの《恩恵のマナ》は軽いユニットをテンポよく展開するために使わず、《ゴーレム》や《サナム》を1ターン早く出すのに使った方がいいです。

 勝ちパターンは《ゴーレム》や《サナム》による中盤のマウントからの押し切りで、中盤の段階で優位を得られていないと負けます。先手だといい具合に中盤でのマウントを取りやすくてそれなりに勝てるんですが、後手だとかなり厳しいですね。

 AoEのケアという点で、例えば自分の同じ縦列に2/2と4/4(ゴーレム)がいて相手の同じ縦列に2/2がいた場合、4/4で殴ったほうがユニットが2体残り良さそうに見えますが、AoEが突き刺さる盤面になってしまうので2/2で殴るのが正解です。

 

 また、私は最初対アスガルドではこちらが攻める側に回る必要があるためすれ違いのダメージレースの形にできるならそのようにしたほうがいいと思っていましたが、それは間違いでした。

 アスガルドには《百戦神 テュール》を筆頭にバフ(強化)カードが多いため、相手の場にユニットを残してしまうとそれらを活かされていいように盤面を取られてしまいます。それに、お互いの場にユニットが並んでいる状況は《グングニルの穿通》によって簡単にゲームを決定づけられてしまいます。

 なので、対アスガルドでは相手の場にユニットを残さないようがっぷり組み合うゲームプランを取った方がいいです。相手のバフカードにバリューを与えないことが肝心です。《テュール》も横にユニットがいなければ普通のカードです。無理攻めしてもどうせ回復されてしまうので上手くいきませんしね。

 

 また、細かいところでは相手の場の前列に氷河がある場合、それと同じレーンに《ゴーレム》を出すのはやめましょう。《ドワーフの戦士》を持たれているとひどいことになります。

 

 

ルクソール

 《大気神 アメン》が間に合うかどうかのゲームです。基本的にはオリンポス有利です。

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 ゲームがぐだってしまうと《アメン》が間に合ってしまいやすくなるので、速攻は出来るだけ盤面処理よりも顔を殴るために使いましょう。盤面を取っても《セクメトの殺戮》でリセットされてしまいます。ひたすら顔を狙いましょう。

 ルクソール側からすると後手のときに《恩恵のマナ》を温存しておく余裕はなく序盤のテンポについていくために使わざるを得ないため、《アメン》が出てくるのは9ターン目です。先手が取れると《アメン》を出されるまでに9ターンかけて勝つことが許されますが、後手だと8ターンで勝たなければいけないため先手が取れると非常に嬉しいですね。

 

 

対トリニティ

 トリニティ側の構成によってかなり相性が変わってくると思いますが、おおむねオリンポス有利なように感じます。

 ハデスは鉄壁に弱く、以前は《ロードスの聖騎士》が厳しかったんですが、《アレース》を手に入れてだいぶ楽になりました。カードパワーは正義。

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 典型的な負けパターンとして《聖樹の杯》のブーストからマウントを取られてそのまま負け、というものがありますが、そのような展開でも諦めずにじっくりやっていると相手がその後マナブーストの部分を固め引いてしまって息切れし逆転勝利ということも少なくありません。トリニティはそういう事故のありえるデッキなので、対トリニティでは諦めないということが大事です。

 

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 また、1ターン目の《聖堂領の修道女》は即座にガーディアンパワーで殺すようにしましょう。自分の展開を優先すると《聖堂領の格闘教官》を出されて詰みます。

 

 

対イズモ

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 ぶっちゃけるとイズモがオリンポスよりも優れているところは最序盤のテンポくらいしかないので、まあブン回られなければだいたい勝てると思います。

 ツクヨミスサノオも自分が攻めてるときしかガーディアンパワーが機能しないので、こちらが攻める側に回ることができれば勝ちですし、ゲームが長引くとガーディアンパワーの性能差の影響が大きくなるのでやはり勝ちます。

 序盤にテンポ差をつけられる以外にほぼ負け筋がないので、そこだけ気を付ければ大丈夫です。

 

烈火の軍狼追加! 新環境始まる!

 気が付いたら前回の更新からまるまる1か月が空いてしまいました。色々あって思うように遊べず。

 そうこうしているうちにカード拡張セット「烈火の軍狼」が追加され、ランクマッチもリセット。新環境の始まりです。

 早い方は月の変わった深夜のうちにSランクに到達しているようですし、そこまで早くなくとも昨日のうちに到達した人がかなりの数いるようですが、私も遅ればせながら本日Sランクに到達しました。

 主に使っていたのは「ランク上げしたいならとりあえずこれ」のミッドレンジオリンポスです。

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 構成の特徴としては《ケンタウロスの軽装騎兵》《テーパイの重装投槍兵》《英智神 アテナ》《ケラウノスの制裁》といったライフを攻めるためのパーツを不採用としていることですね。

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 この理由は至極単純で、オリンポス同型を強く意識した結果です。

 オリンポス同型ではお互いが同じ速度で動き合うため、展開したユニットが相討ちを繰り返し、両者のライフがあまり減らないまま中盤以降にもつれ込むという展開になりがちです。そしてそのような展開になった場合、勝負を決めるのはどちらのほうが強い盤面を構築できるかであり、引いたカードの太さが勝敗を分けます。

 そのため、相手のライフを削るのは得意なものの盤面を作るのは得意でないカードはすっぱりと切り、盤面構築重視でカードを選んでいます。

 おそらく《エルフの狩人》というただの3マナ2/3バニラのチュートリアル用カードを大真面目に使っているのは私くらいしかいないのではないかと思いますが、2/2の多いオリンポスに対して2/3は頼もしい性能です。これが《ケンタウロスの軽装騎兵》だったら2/2に対して有利交換を取れないどころか1マナ分損な交換しかできません。アズガルドのAoEをギリギリ耐えられるというのも評価ポイントです。

 流石にもうちょっとマシなカードはないのかと思うかもしれませんが、デメリットになりうる能力を持たないオリンポスで使える3マナ2/3は残念ながら現状これしかありません。

 

 

新環境のメタゲームは?

 はっきりとオリンポスとアズガルドの2強となっています。他の勢力の存在感は極めて希薄です。

 烈火の軍狼で追加されたカードの中では《軍狼神 アレース》と《百戦神 テュール》の2枚が抜けて強く、まさにその2勢力が暴れているという状況ですね。

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 そして今後のメタゲームの動向ですが、自分としてはこのまま2強状態が続いて動かないだろうという悲観的な見方をしています。

 というのも、2強の環境は1強環境以上にメタゲームが固定化しやすいからです。1強であれば他には勝てないがトップのデッキにだけは相性がいいというデッキによってメタゲームがかき回されうる余地がありますが、2強の場合片方に強いデッキがあってももう片方に勝てないのであればそのデッキは良い選択になりません。

 例えば、おそらくリリース後初期の環境で流行していたコントロールルクソールはアズガルドに対しては有利に戦えるでしょう。しかしオリンポスに対して大きく不利なため全く使いたいと思えるデッキではありません。

 そしてそもそも、オリンポスに対して有利に戦えるデッキはアズガルドくらいしかないのです。

 

 個人的にはオリンポスのなんらかのカードに対してNerfが入る可能性は高いのではないかと思っています。しかし、勢力固有カードがあまり強くなくニュートラルカードの価値が高い現状のカードプールにおいては多少のNerfを受けてもなお最強のガーディアンパワーを持つという強みだけでオリンポスはトップの地位を得られるでしょう。

 オリンポスが首位陥落するとしたらそれはNerfではなくインフレによってもたらされるだろうと考えています。

デッキ紹介 一番人気? コントロールルクソール

 カードゲームの新環境は、最初こそみんな思い思いの好きなデッキを使い多様性に富んだ環境となりますが、時間とともにどのデッキが強くてどのデッキがそうでないかということが知れ渡り、最終的には数少ないいくつかの強デッキばかりが溢れる多様性の少ない環境になっていく傾向があります。だんだんメタゲームが固定化されていくわけですね。

 デュエルエクスマキナもリリースから数日が経ち、明確に当たることが多いなと感じるデッキが出てきました。コントロールルクソールです。ちゃんと数えたわけではないですが、体感的には3~4回に1回くらいはエジプトのおばちゃんの顔を見てる気がします。

 というわけで今回はコントロールルクソールのデッキ紹介です。

 

 

どんなデッキ?

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 相手のユニットを除去やデバフで無力化し、耐えて耐えて耐え続けて勝とうとするデッキです。

 《セクメトの殺戮》《ホルスの栄光》そして更に《大気神 アメン》とAoE(Area of Effectの略。範囲効果。カードゲームではほぼ全体除去のことを指す)が豊富にあり、充分に長引いたゲームでは相手の繰り出す脅威に対しリセットを繰り返すことが可能です。コントロールルクソール相手にユニットを生き残らせることは容易ではありません。

 

 自分で使ってみて調整を加えたものになりますが、デッキリストは以下。

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コントロールルクソール - DUELS X MACHINA Now

 

 あくまでこれはスタンダードなタイプのもので、《ソベクの怒り》を用いる砂漠型、《ホルスの封臓》を用いるバーン型などの亜種も見かけます。

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使い方

 適当に死なないように相手ユニットを捌いていたらそのうち勝ちます。頑張って勝ちに行くのは相手を捌き切ってからでいいんで、それまではとにかく守ること、ライフを高水準で維持することに注力しましょう。

 軽いユニットカードが入っていますが、このデッキでのこれらの役割は相手ユニットの前に出して壁にすることです。序盤中盤に相手ライフを削ることにはあまり意味がないので、適当にユニットを出してそのレーンを避けられるとせっかくのユニットが機能しない事態に陥ってしまいます。盤面が更地ならあえてユニットを展開せずパスするというプレイをすべきことも多いです。

 また、特に中盤以降はマナ効率はあまり重視しなくて構いません。マナ効率よりも、次に相手が何をしてきても手札に解答が残っている状況が継続することを重視してください。無理にマナを使い切ろうとする必要は全くありません。

 マリガンでは、アグロデッキのように軽いカードが初手に来るようにするのではなく、重いカードであってもキーとなるカードは初手に残します。具体的には《セクメトの殺戮》は多くのマッチで6ターン目にプレイできるか否かで勝敗が左右されるためほぼ残します。相手がアグロの場合は《レシェフの疫病》も残しますね。

 

 

特殊なゲームになる同型戦

 …と、ここまで書いてきた内容は同型戦以外を想定してのものです。コントロールルクソール同士の対決は非常に特殊なものとなり、他のマッチアップとは異なる立ち回りが要求されます。

 まず前提として、特にチュートリアルでは説明されていませんが以下のルールがあることを覚えてください。

  • 手札の上限は8枚。9枚目のカードを引こうとする場合、それは手札に入らず破棄される。
  • デッキが空になった場合、その後1枚目(31枚目)のカードを引こうとすると1ダメージを受ける。2枚目は2点、3枚目は3点とそのダメージはだんだん増えていく(このダメージはFatigueダメージと呼ばれている)。

 なぜこれらのルールを覚えておく必要があるのか。それはコントロールルクソールの同型戦が必ずデッキ切れに至りFatigueダメージで決着するからです。

 コントロールルクソールはユニットが少なく除去の多いデッキです。デッキ内の脅威の枚数よりも対処札の枚数のほうが多い。そのため、同型戦ではお互いのデッキ内の攻め手がすべて処理され尽くしてしまうのです。そうなるともうFatigueによってしか決着しません。

 これはそういうゲーム展開もあるという話ではなく、必ずそうなります。デッキのすべてを使って戦うため、引きによるブレも起きえません。

 ですので、コントロールルクソール同型ではマッチアップが決定した瞬間から27ターン後のFatigueを意識して動くことを心がけてください。具体的には、決してドローカードを使ってしまわないこと、ライフを大事にすることの2点に気を付けましょう。

 ドローカードは使ってしまうとデッキが1枚減りその分Fatigueに近づきます。相手よりも先にFatigueに入ってしまうとほぼ負けです。《メンネフェルの踊り子》はデッキからスペルがなくなるまで決して場に出してはいけません。

 お互いにFatigueに入ったゲームは純粋なダメージレースとなります。そのためライフは極めて重要です。もしも相手ライフが15以下で自分のライフが16以上なら自分から先にFatigueに入ってしまったとしても先に死ぬのは相手です。《大気神 アメン》は出したところで一瞬で除去されるかATK0にされるかなんで、極力ライフ回復が活きる場面以外では出したくありません。裏返すと相手のアメンが活きる盤面はなるべく作らないように心がけたいところです。

 また、手札上限にも気を付けましょう。うっかりドローが燃えてそれが重要なカードだった場合敗着になりえます。《レシェフの疫病》なんかは大事に持っていても役立つ機会はおよそやってこないのでとっとと空撃ちして手札を減らすようにしましょう。

 

 

カードの取捨選択

 上に貼ったリストに至るカードの取捨選択の解説です。

 

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 ドローカードの問題は同型戦でプレイできないこと、そしてプレイできないがゆえに手札を圧迫することです。仮にデッキにドローカードを8枚採用した場合、最終的に手札にドローカードが8枚溜まり新たなカードを引くことができなくなってしまいます。あるいはその状況から抜け出すためにドローカードを消費せざるをえなくなり、自らデッキを減らすという自殺行為に及ぶことになってしまいます。

 しかし逆にドローカードを減らしすぎると、今度は必要な状況で必要なカードが手札にないという事態が起こりやすくなり、その安定性の低下のために同型戦以外での勝率が下がります。

 ですので、デッキに入れるドローカードは4枚がベストかなと思っています。

 自分の調整では、ATKが2あり相手ユニットとのトレードをしやすい《エルフの獣使い》と、《セクメトの殺戮》などキーカードを手に入れられる確率の高い《メンネフェルの踊り子》の2種類を採用しています。

 ちなみに《ギーザの魔装兵》《聖鳥 シームルグ》は不採用となった《大蜘蛛 アナンシ》《副葬人形 ウシャブティ》の分のマナカーブを埋めるために採用しています。

 

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 《ファラオマスクの呪い》はマストで2枚必要です。その理由は同型戦で勝つため。

 同型戦は必ずFatigueによるダメージレースとなりますが、そのときに最も役立つカードが1枚で都合10点分のライフ差をつけることができる《ファラオマスクの呪い》です。同型戦で一方だけが《ファラオマスクの呪い》を採用しておりもう一方が採用していなかった場合、勝つのは採用している側です。同様に一方が《ファラオマスクの呪い》を2枚採用しておりもう一方が1枚しか採用していなかった場合、勝つのは2枚採用している側です。

 コントロールルクソールの同型戦は非常に遅いゲームになりデッキをすべて使って戦うことになるため引きの良さによってはほぼ差が付きません。プレイによる差もお互いが同型戦の立ち回りを理解しているのならばほぼありません。デッキ構成の差が勝敗に直結しごまかしが効かないため、甘えずにキーカードを2枚採用しておく必要があります。

 

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 《彷徨えるゴーレム》は試してみたものの結局不採用としました。確かにほとんどユニットを出さないこのデッキではデメリットは非常に小さいものなのですが、デメリットを無視しても所詮4マナ4/4バニラ止まり。単体でフィニッシャーになるわけでもないですし、壁としてもイズモ相手にレーンをずらされたりバウンスされたりとそう信頼に足るものではなく、このデッキに必要な性能ではありませんでした。

 同様に《離魂術師 サナム》もハイスペックなものの単体でフィニッシャーになるわけではなくあまりデッキに合っていないという理由で不採用となっています。

 

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 《冥獣 アメミット》はHPが高くATK0にされても機能する上に出したターンに即座にライフに影響できることから同型戦で強いカードなのですが、同型戦以外ではほとんどバニラに等しく弱いため不採用です。同型戦でも劇的に強いというほどでもありませんし。

 

 

デッキの強み・弱み

 強みはなんといっても圧倒的なカードパワー、中盤以降の盤面掌握能力です。真正面からぶつかってくるような相手に対しては相手のデッキ内の攻め手をすべて捌き切って勝つことすら可能なレベルでボードコントロールをすることができます。ロングゲームの王者と言っていいデッキでしょう。

 逆に弱みは序盤ですね。デッキ全体のマナカーブが後ろに寄っていて序盤はマグロになりやすく、対アグロでは《セクメトの殺戮》を撃つまでにライフが一桁まで削られることが多いです。

 また、自分から盤面を構築するということをせず、相手の出したカードを自分のターンで対処という動きを繰り返すデッキなので、速攻を持つユニットには無防備です。

 そのため、全力でライフを削りに来るようなアグロに寄ったデッキには不利が付きます。

 相手がアテナやハデスだと不利、というよりはオリンポス相手でも相手の構成がミッドレンジに寄っているならむしろ有利、アグロに寄っているなら不利、という感じですね。イズモ相手の場合はガーディアンがツクヨミだったら気持ちが楽ですが、スサノオの場合は死を覚悟します。

 

 また、勝敗とはまた別の欠点として1ゲームにかかる時間が長いということも挙げられます。ゲームの回転効率が悪いんで、サクサクランクを上げたいときには不向きです。

 生成コストが高く構築のハードルが高いというのも欠点ですね。パーツの代用が効かないため安いカードで妥協するということができず、組むためには課金するか他勢力の重要なカードを分解するかしなければなりません。

 

 

そしてメタは回る

 というわけでコントロールルクソールの紹介でした。

 インターネット上に書かれた意見を見てみると「ルクソールが強すぎる」という不満の声もちらほら見られますが、今はまだリリースから1週間にも満たないメタが回り始めるスタート地点に過ぎません。今後においてもルクソールが活躍し続け一強の地位を築きなんらかのカードがNerfされるに至る可能性もありますし、対策されてあっさりと流行が終わる可能性もあります。現状だと今後のメタゲームがどうなるかは予測しづらいです。コントロール→アグロ→ミッドレンジ→コントロールとメタゲームが循環するといいなというのが希望ですね。

配置のイロハ

 デュエルエクスマキナの最大の特徴といえばなんといってもマス目のあるフィールドであり、そしてどのマスにユニットを出すべきかという配置要素。他のカードゲームタイトルではなかなか見かけない独特の要素です。それだけに、「どこにユニットを出せばいいのかわからない!」という方も多いのではないでしょうか。

 どこに配置するのか、というのはまさにこのゲームの勝敗に関わる極めて重要な選択です。配置を制する者はデュエルエクスマキナを制する。そう言ってしまっても決して過言ではないでしょう。

 というわけで、今回は配置における基本的な考え方について解説します。

 

 

6マスのフィールドについてこう考えてみよう

 デュエルエクスマキナのフィールドには6つのマスがあります。ですので、ユニットを場に出す場合6つの選択肢があるわけです。6択…多すぎるとまでは言わないものの、ちょっと厄介な選択肢の多さです。

 そこで、「フィールドには6つのマスがある」と考えるのではなく、「3つのレーンがあり、それぞれのレーンには前後がある」というふうに考えるようにしてみましょう。

 デュエルエクスマキナではユニットの攻撃は同じレーン(縦列)のものにしかすることができず、またなんらかのカードやガーディアンパワーの効果によってしかユニットが他のレーンに移動することはありません。ですので、各レーンはおおむね独立したものとみなすことができます。

 このように考えてみると、どこに配置すべきかという判断において、「6マスのうちのどこに出そうか」という考え方ではなく、「どのレーンに出そうか」「前後どちらに出そうか」という判断を分割した考え方を取れるようになります。

 判断を行う回数は増えてしまいますが、それぞれの選択肢が3つと2つという扱いやすい数になり、6択から選ぼうと考えるよりも遥かにスッキリとした思考をすることができます。

 

 

配置の基本は「どのように戦闘したいか」

 HearthstoneやShadowverseでは戦闘をどのように行うかは攻撃を行うプレイヤーがどこを殴るか選択することによって決定されます。一方デュエルエクスマキナの場合、攻撃を行うプレイヤーにどこを殴るかの選択肢はありません。では戦闘がどのように行われるのかを決定づけるものは何か、といえばこれはまさに配置です。配置の選択とはつまりどのように戦闘するかの選択なのです。

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 戦闘には有利な戦闘と不利な戦闘があります。

 例えば2/2の《殺人蜂 キラービー》と2/3の《エルフの狩人》の間で戦闘が行われたとしましょう。このとき、《キラービー》は破壊されてしまうのに対し《エルフの狩人》は2ダメージ受けて2/1となってしまうものの一方的に場に残ります。

 つまりこの場合、《キラービー》側にとって不利な戦闘が、《エルフの狩人》側にとっては有利な戦闘が行われたということが言えます。

 言うまでもなく、不利な戦闘を避けて有利な戦闘が行われるように意識することが重要です。

 ですので、相手の場に2/2がいる状況で2/3を出す場合は相手の2/2と同じレーンに2/3を配置して有利な戦闘が行える状況を作るべきですし、逆に相手の場に2/3がいる状況で2/2を出すならば相手の2/3とは違うレーンに出して不利な戦闘を避けるべきです。

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 しかしデュエルエクスマキナの戦闘ルールは基本的に「後出し有利」です。自分が先に2/2を出して、それに2/3を合わせられたら諦めて不利な戦闘を受け入れるしかないのでしょうか。

 もちろんそんなことはありません。後出しには更に後出しをすることで対抗することができます。

 つまり、こちらの2/2に2/3を合わせられたなら、2/2の前に3/3を出してしまえば不利な戦闘を避け有利な戦闘を行うことができるのです。

 このとき、もしも2/2を前列に出してしまっていたならこのようなプレイができないということに注意してください。

 戦闘で負けやすいスタッツの低いユニットは後列に配置し、それと有利な戦闘ができるユニットを相手が被せてきたなら更にそれに対抗できるユニットを前列に配置し被せ返す。これがデュエルエクスマキナにおける基本的な立ち回りとなります。

 

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 ここまで「ユニットが場にいたら」という話をしてきましたが、ユニットがいなくても地形があった場合はこれも判断材料となります。

 お互いの場にユニットはなし。相手の場に氷河が1マスある。さてこの状況でユニット(2/2や3/3くらいのスタッツ)を出すならどこに出すべきでしょうか。

 答えは「氷河のあるレーンを避けて別のレーンに出す」です。

 相手としては氷河にいると強化されるユニットを氷河の上に出したいはずです。もしも氷河と同じレーンにユニットを出してしまった場合、相手は氷河の恩恵を受けつつ有利な戦闘を行える「ダブルで美味しい」状況を作ることができます。しかし、氷河のないレーンにユニットを出したなら、相手は氷河の恩恵を取るか有利戦闘を取るかどちらかしか選べないのです。

 

 

自分のデッキに入っているカードを意識して配置しよう

 相手との関係だけでなく、自分のデッキの中での都合というものも大事です。

 

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 前列のユニットをバフするカードがデッキに入っているなら、先にユニットを前列に出しておかないとこのようなカードを引いたときに活躍させることができません。

 

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 デッキに《彷徨えるゴーレム》が入っているなら、中央のレーンにユニットを出すのは控え、なるべく左右のレーンにユニットを配置するように意識すべきでしょう。中央のレーンにユニットを出してしまうと、後から《彷徨えるゴーレム》を引いたときに同じ横列に《彷徨えるゴーレム》を出しづらくなってしまいます。左右どちらかのレーンにユニットを出しておけば、同じ横列でも逆サイドのマスならば気兼ねなく《彷徨えるゴーレム》を出せます。

 

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 場を開けておくというのも大事ですね。

 《離魂術師 サナム》は前列を2マス、《水晶術師 ジアー》は後列すべてを開けておかないと真価を発揮できません。

 同様に《コリントスの軍犬訓練士》のようなカードがあるときも「場に2マスの空きがあるけど前後1マスずつだから出せない…」というふうにならないように気を付ける必要があります。

 

 

相手の使いうるカードをケアしよう

 配置の仕方次第では相手の使うカードがクリティカルヒットしてしまい敗着となる場合があります。相手の使ってくる可能性のあるカードを把握しておき、ケアしてなるべく被害が出ないようにしましょう。

 

対オリンポス

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 下手に縦にユニットを並べると《ゼウスの降雷》が突き刺さる場合があります。なるべくユニットは横に並べるようにしましょう。

 《カドモスの竜牙》もそこそこ採用率の高いカードです。横にHP1のユニットが並んでしまわないように気を付けましょう。

 あまり採用率は高くないですが《アルテミスの矢雨》《大海神 ポセイドン》と前列すべてにダメージを与えるカードも存在します。なるべくユニットは後列に配置し、前列に並べてしまわないようにしましょう。

 

ルクソール

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 対ルクソールではとにかく前列にユニットを出さないように気を付けましょう。特に序盤に前列にユニットを出し、《ギーザのスコーピオン》+《ハピの捧物》のコンボを決められてしまうと勝敗に直結するレベルのアドバンテージを取られてしまいます。しかしこれは後列からユニットを出すようにするだけで簡単にケアできます。

 《レシェフの瘴霧》《セトの流砂》は今のところ使われているのを見かけたことがないのであまり気にしなくていいと思います。

 

アスガルド

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 アスガルドには配置を咎めるようなカードは《グレイブニルの束縛》くらいしかなく、《グレイブニルの束縛》もあまり採用率の高いカードではないので、対アスガルドではそれほど配置に気を使う必要はありません。

 

対イズモ

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 イズモは横並びを咎めるカードはありませんが縦並びを咎めるカードはこの2種類があり、そしてどちらも採用率が高いです。ですので、対イズモでは下手に縦にユニットを並べずに横にユニットを並べるように心がけましょう。

 また、出来れば対イズモでは同じ横列を3マスすべて埋めるようにするといいです。そうすると相手の「ユニットを横に移動させる」というスキルが機能しなくなります。

 

対トリニティ

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 トリニティは前列のユニットにダメージを与えるカードが複数あり、その中でも特に《火竜 ウェルシュドラゴン》は採用率が高くだいたい入ってるものと考えて構いません。ですので、対トリニティではなるべく前列にユニットを出さないということを意識して配置しましょう。

 一応縦並びを咎めるカードとして《サリエルの光槍》がありますが使われているところを見たことがないので存在を心に留めておく程度でいいと思います。

 

まとめ

「各勢力ごとなんて覚えられないよ!」という方はこのように覚えてください。

 現在のカードプールには「前列にダメージを与えるカード」「縦一列にダメージを与えるカード」は存在するものの、「後列にダメージを与えるカード」は存在しません。

 ですので、後列は前列に比べ安全な場所で、後列にユニットを並べてもほとんどリスクはありません。

 そのため、「なるべくユニットは後列に出す」「縦に並べず横に並べる」の2点を意識しておけばだいたいの場合はOKです。

35連勝で無敗のままSランク到達! メインで使用したオリンポスデッキの紹介

 昨日は遂にデュエルエクスマキナの本リリースでした。

 早速ランクマッチを回し、なんとか昨日のうちにSランクに到達。成績は35勝0敗と土つかずのベストな成績でSランクに到達することができました。

 そこで! Sランク到達までに主に使用したオリンポスデッキの紹介をします。デイリーミッションのために4戦ほど別のデッキを使っていたのですが、それを差し引いても31勝0敗のデッキです。

 

 デッキリストはこちら。トークンオリンポスです。

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トークンオリンポス - DUELS X MACHINA Now

 

 

 

どんなデッキ?

 アグロをベースに長期戦にも対応しやすいようにコストの高いパワーカードも盛り込んだ攻撃的ミッドレンジです。

 序盤からテンポよく展開し、相手の立ち上がりが遅いようであればそのまま押し切り、逆に序盤に有利に展開できなかった場合は耐えてパワーカードを叩きつけることを目指す、という具合に相手や展開に合わせて柔軟にプランを選びながら戦います。

 序盤の高い展開力と汎用性の高いガーディアンパワーの組み合わせにより盤面の優位を得るのが得意なのが特長。

 マナカーブ通りにユニットを展開していくだけのデッキなので癖が少なく扱いやすい一方、戦闘やガーディアンパワーの使い方の選択肢を適切に選ぶことが重要でゲームの基礎力が試されるデッキでもあります。

 

 

なぜこのデッキを選んだか

 ひとつは上でも書いたように扱いやすいため。そしてもうひとつは攻撃的なデッキなので1試合にあまり長い時間をかける必要がないため。

 この2点からランクを効率的に上げるための「業務用デッキ」として優れていると判断しました。

 

 

個別カード解説

 

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 1マナATK2のユニットが3種類。アグロに寄せきったデッキではなく、1マナ域にはより上のマナ域のカードとの交換をしてテンポを得る仕事を期待しているため、より上のマナ域との交換が見込めないATKが2に満たないユニットは不採用となっています。

 《魔蝸牛 デーモンスネイル》はHPの低いユニットの多いこのデッキでは一見使いにくそうに見えますが、デーモンスネイル自身が破壊されるまではノーデメリットであり、破壊されても酸溜まりにユニットを配置しないように気を付ければあまりデメリットが気にならないため、意外にデメリットが少なく1マナ2/2という高スタッツのメリットのほうが大きいと判断し採用しています。

 

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 地形を活かすカードは《アテナイの海兵》《海馬 ヒッポキャンパス》の2種類しかなくタッチ程度の扱いなのですが、この2枚はスタッツが標準スペックを満たしており手堅い2マナ域として扱うことができます。特に《エルフの地術士》は《魔蝸牛 デーモンスネイル》のデメリットを帳消しにするという重要な役割があります。

 

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 デッキの中心といえるカードです。トークンを並べるカードが多く入っているこのデッキでは数ターン生き残ると馬鹿にならない点数のダメージが相手に入ります。

 特に対アスガルドや対トリニティでは終盤に盤面を制圧され攻撃によって相手ガーディアンにダメージが与えられないという状況になることがたびたびあるのですが、そのような状況でも《サテュロスの短弓兵》の能力とガーディアンパワーによって直接相手ライフを削りきって勝利することができます。

 出す場合はなるべく後列に置いて生き残りやすくするようにしましょう。

 

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 《サテュロスの短弓兵》と相性のいいトークン生成カードです。

 《ピクシーの女王 ターニア》はレジェンダリーで入手が難しいのですが、《短弓兵》がいる場で《ターニア》を叩きつけて相手ガーディアンに3点のダメージを与えつつ盤面を有利にするというのがこのデッキの勝ちパターンのひとつなので極力妥協せずに2枚採用したいところです。

 

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 直接ダメージカード、速攻ユニット、そしてハデスのガーディアンパワーは攻め切れる状況なら本体に、盤面を処理する必要があるならユニットに、という具合に状況に合わせてプランを選ぶ上で非常に重要で、攻撃的ミッドレンジというコンセプトを支えるものです。

 

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 軽いカードが多く手札が枯れやすいこのデッキでは手札の消費を抑えるこのカードは中盤のつなぎとして有用です。完全にアグロに寄せ切ったデッキではより相手ライフを削るのに役立つカードを採用するべきなのですが、ミッドレンジであるこのデッキでは《エルフの獣使い》がいい働きをしてくれます。

 

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 実はこのデッキの中で最も不要なカードです。このカードがプレイできるようになる頃には既に勝ってしまっていることが多く、8コストという重さが手札で邪魔に感じることも多いです。

 とはいえこのカードでしか勝てないような状況も多くあり、メインコンセプトからやや外れているからこそ無理矢理勝利をもぎ取る役に立つため採用しています。

 しかしまあ、持っていないなら無理に入れる必要のない枠です。

 

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 今回デッキに採用していませんが、その理由は「持っていないから」というだけのものです。トークン生成カードでありコンセプトと噛み合っていますし、単純にスペックの高いパワーカードなので持っているなら採用したほうがいいでしょう。

 

 

 

 

いよいよ明日リリース! デュエルエクスマキナってどんなゲーム?

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 いよいよ明日、3/30の15:00にデュエルエクスマキナの配信開始です!

 この記事ではOBT参加者の立場から、Q&A形式でデュエルエクスマキナがどんなゲームなのか紹介していきます。

 

 

そもそもどんなゲームなの?

 いわゆるデジタルTCGです。MTG遊戯王デュエルマスターズといったTCGトレーディングカードゲーム)タイトルの、紙のカードではなくスマホのアプリ上で遊ぶものです。同ジャンルのタイトルとしてはHearthstoneやShadowverseが有名ですね。

 特徴はフィールドにマスがあるという点。ボードゲーム的な要素もあるゲームといえます。

 だいたいのゲームの雰囲気については、以下の記事がよくまとまっていてわかりやすいと思うのでこちらのほうを参照ください。

www.4gamer.net

 

 

難しい?

 マス目のあるフィールドは一見すると難しそうに見えてしまうかもしれませんが、実際にプレイしてみるとそう難しいものではありません。

 マス目があるといっても場に出したユニットは移動させることができませんし、ユニットの攻撃においても同じ縦列の一番手前の敵を自動で攻撃するだけで攻撃先を選択することはできません。感覚としては、フィールドに2×3の6マスがあるというよりも前後縦2マスのレーンが3レーンあるというほうが近いです。

 ゲームに不慣れな初心者が膨大な選択肢の前に何をすればいいのかわからず立ちすくんでしまうことがないようにきちんとデザインされたゲームになっていると思います。

 また、NPCと戦うストーリーバトルも充実しているため、初心者のうちから対人戦をするのはちょっと怖いという方でも大丈夫です。

 なんらかのTCGタイトルに触れた経験がある方であればすぐに馴染めると思いますし、TCGは初めてという方であってもストーリーでのNPC戦をある程度こなせば充分に慣れることができるでしょう。

 

 

課金ゲー?

 OBTではそもそも課金することができなかったため、はっきりしたことはわかりません。

 しかし、HearthstoneやShadowverseと同様にいらないカードを分解することで欲しいカードを確実に入手できる仕組みがあるため、目当てのカードが出るまで延々とガチャを回し続ける必要はありませんし、資産のすべてをひとつのデッキに集中させれば無課金で理想のデッキを組むことも可能だと思います。

 また、レアリティの高いカードを見てみると必須と言えるほど強力すぎるカードはあまりないようですし、レアリティの高いカードはコストの重いものが多いため、短期決戦を狙う攻撃的なデッキであれば課金せずとも組みやすいのではないかと思います。

 逆に言うと、長期戦を挑む防御的なデッキを組みたい場合や、複数のデッキを持っておきたい場合は課金が必要になる可能性が高そうです。

 まとめると、「課金すれば勝てる」というようなゲームではなく、「課金すると選択肢が増える」ゲームなのではないかと思います。

 

 

HearthstoneやShadowverseとどう違うの?

 ターンの経過とともにコストが高く強力なカードをプレイできるようになったり、場に出したユニットで攻撃して相手のライフを0にすることを目指したりといったベースの部分は同じです。

 大きな違いはデュエルエクスマキナにはフィールドのマスという要素があることですね。まず見た目がかなり違いますし、ゲームのプレイ感としてもHearthstoneやShadowverseでの戦闘における重大な決断が攻撃時にどこを殴るかであるのに対し、デュエルエクスマキナは攻撃時にはほとんど選択肢がなくユニットを場に出すときにどこに配置するかが戦闘における重大な決断となるという具合に決断のタイミングが大きく異なり、ゲームのプレイ感もまた違ったものになっています。

 そして、これは今しか言えないことですが、新規タイトルであるというのは最大の違いだと言えるでしょう。

 既にリリースから時間が経ってしまっているゲームの場合、カード資産という面でも経験という面でも先にゲームを始めているプレイヤーに対してビハインドを負った状態で始めなければなりませんが、新規タイトルの場合はそのようなことがありません。

 TCGタイトルにおいてはカードプールが狭いというのも新規タイトルのメリットですね。リリースから時間が経ちカードプールが広がるとその分把握しなければならないカードの量も増えて初心者には負担になりますが、リリース時というのはそのゲームの歴史の中で最もカードプールが狭いわけですから相対的に負担は小さいものとなります。

 また、デュエルエクスマキナの場合リリース時のカードプールのカードを見てみると、OBTでのフィードバックを受けての調整の成果もあり極端に強すぎるカードは存在しないように思えます。ですから、相手に強すぎるカードを使われたせいで一方的に負けてしまうというカードゲームにありがちなつまらない体験をしてしまう機会は少なく、お互いのやり取りが重要となる「カードゲームしてる感」のあるゲームができる機会が多いことを期待できそうです。

 

 

闘技場や2pickのようなモードはある?

 OBTには存在しませんでした。おそらくリリース時にも存在しないと思います。

 しかし、先行プレイ会において開発スタッフの方からそのようなモードの実装は是非やりたいという前向きなコメントがありました。ですので、いずれは実装される可能性が高そうです。

先手後手の話

WAR OF BRAINS » ■ルールの変更について

 

 WAR OF BRAINSで先手後手のバランス調整のためにルール変更が行われるという発表が先日ありました。変更内容はデュエルエクスマキナと同様のHearthstoneにおけるコインの導入ですね。私自身はWoBはプレイしていないのでこの決定が妥当かどうかについては何も言えませんが、DXM、WoBと先手後手に関するバランス調整の話題が続いたのを機にいくつかのカードゲームの先手後手バランスについて話をしてみたいと思います。あまりとりとめはないです。

 

 

 

まず前提として

 まず先手後手それぞれの優位について話すにあたり、マナシステムを採用したカードゲームにおいて重要となる要素を3つ挙げます。

 

①カードアドバンテージ

②テンポアドバンテージ

③ライフアドバンテージ

 

 カードアドバンテージとはつまり枚数の優位です。相手が場になにもなし、手札もなしというときに自分は手札を3枚持っていたら手札3枚分有利ですよね。相手がよほど強いカードを引かない限りそのゲームは勝てるでしょう。

 例えば「カードを2枚引く」という効果のカードを使った場合、カードを1枚消費して2枚得るわけですから、差し引き1枚分のカードアドバンテージを得ます。「場のカードすべてを破壊する」という効果のカードを使い、そのとき相手の場にカード3枚が、自分の場にカード1枚があった場合、相手はカードを3枚失い自分はカード2枚を失うことになるのでこれも差し引き1枚分のカードアドバンテージを得るというわけです。

 

 テンポアドバンテージはここでは使用できるマナの総量での優位という意味で用います。テンポという言葉は非常に曖昧な使われ方をするもので明確に定義することは不可能ですが、ここでは説明をわかりやすくするためにそのように定義しておきます。

 例えば「このターン使用できるマナを2増やす」という効果のカードを使うと、カードアドバンテージは1枚分失う代わりに2マナ分のテンポアドバンテージを得ます。

 

 ライフアドバンテージはそのままライフにおける優位ですね。相手のライフが10で自分のライフが20だったら10点分のライフアドバンテージを持っているというわけです。

 

 もちろんゲームにおいて有利不利を決定する要素はこの3つだけに限定されるものではありませんが、この3つはとりわけ重要かつ様々なゲームにおいて応用しやすいものです。

 

 

 

Magic the Gatheringの場合

 さて、MTGの先手後手のバランスはどうなっているのか、上の3つのアドバンテージについて見てみましょう。

 

①カードアドバンテージ・・・後手有利

 MTGでは先手プレイヤーは1ターン目のドローフェイズにカードを引くことができません。一方で後手は1ターン目のドローフェイズでも普通にカードを引くことができます。後手のほうが1枚分余分にカードを引けるわけですから、カードアドバンテージにおいては後手有利といえます。

 ただし、後手ターンにおいては後手のほうがカードを1枚多く使えるものの、先手ターンにおいてはお互いが使えるカードの枚数は同じですから、そこまで極端な差ではありません。

 

②テンポアドバンテージ・・・先手有利

 先手のほうが先に土地を置いてマナを使えるわけですから当然先手有利です。

 ただし、先手のほうがカードを引ける枚数が少ない分土地が止まりやすく、後手のほうが先に高いマナ域に到達することによって逆転することもあります。

 

③ライフアドバンテージ・・・先手有利

 同じコストのクリーチャーであれば先手のほうが先に攻撃できるわけですから先手のほうが相手ライフを削りやすく先手有利です。

 ただし、MTGは戦闘の選択の決定権が防御側プレイヤーにあるためこの差が大きくなることに歯止めがかかっています。例えばお互いが2ターン目に2/2のクリーチャーを出し合い、3ターン目に先手プレイヤーが攻撃した場合、後手プレイヤーはここでブロックを選択することによってライフアドバンテージの拡大を防ぐことができるのです。

 

 

 総合すると、先手はテンポとライフ、後手はカード枚数という具合にそれぞれが異なるアドバンテージを持っているものの、それぞれにおいてその差が大きくなりすぎないような歯止めも同時に存在しているといえるでしょう。

 最も危険性が高いのはテンポアドバンテージの差で、これはある程度長引くゲームであれば影響は限定的になりますが、早いターンに(実質含め)決着するゲームでは決定的な差異となってしまいます。上に先手のほうが土地が止まりやすいことが歯止めとなっていると書きましたが、そもそも土地が止まることが問題にならないほど早い段階でゲームが決着するのであれば先手がひたすらに有利です。後手は手札を抱えたまま負けることになってしまうのでカードアドバンテージも無力となってしまいます。

 ただお互いがやりたいことをやるだけだったらテンポこそが勝敗の決定要因になりますからMTGは先手が圧倒的に有利です。ある程度お互いに妨害をし合いゲームをスローダウンさせるということが先手後手のバランスの上では重要です。そうなると勝敗の決定要因としてカードアドバンテージが活きてきますから。

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 (後手が不利になりすぎないように頑張っているカードたち)

 

 また、MTGにはサイドボードがあるというのも重要なポイントです。

 はっきり言って、構築戦のメインボードの試合はかなり先手有利なことが多いです。メインボードは相手がわからない前提で構築されているためお互いに自分本位にやりたいことをやる試合になりがちで、そうなるとテンポで勝る先手が有利です。

 一方、サイド後相手に合わせてデッキを組み替えるとお互いが対応的になり、カードの交換が多く行われるようになりゲームがスローダウンします。それによってメインボードの試合に比べて後手有利に傾くわけです。

 

 さて、MTGの現在のスタンダード環境は極めて先手が有利であると言われています。これは海外のプロプレイヤーが愚痴るほどです。その最大の原因は、ここまであまり言及しなかったアドバンテージ、ライフアドバンテージによるものが大きいでしょう。

 MTGにおいて先手のライフアドバンテージが大きいものになりすぎないように抑止しているのは防御側に選択権がある戦闘ルールです。しかし、現在のスタンダード環境ではそれが崩れています。

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  現在のスタンダード環境でよく使われるカードの中には攻撃するのは得意だけれどブロックするのは苦手なカードや自分のターン中にクリーチャーをサイズアップさせてブロッカーを乗り越えられるようにできるカードが非常に多く、ブロックによる相討ちという行為がほとんど成り立ちません。しかも攻撃の打点が高い。お互いに同じように展開した場合後手のライフが先にゴリゴリと削られていき、一方的なゲームになってしまいます。先手だと最高だけれど後手だと役立たずというようなカードが多いのです。

 私はこれは現在のMTGのスタンダード環境の面白さを損ねてしまっている大きな失敗であると受け止めています。禁止が必要になるようなカードが存在するかという問題とはまた別にゲームバランスは崩れることがあるというのはひとつの教訓でしょう。

 

 

 

Shadowverseの場合

 Shadowverseについても同様に見ていきます。

 

①カードアドバンテージ・・・後手超有利

 後手は1ターン目に2枚カードが引ける上に進化権を先手よりもひとつ多く持つため、都合2枚分のカードアドバンテージを持ちます。お互いが進化権を使い切る前提においては先手プレイヤーのターン中であっても差は1枚分までしか縮まらず、先手がカードアドバンテージで追いつくことはできません。

 

②テンポアドバンテージ・・・先手有利?

 お互いに進化をすることができない先手4ターン目までにおいては先手が一方的に有利です。しかし、後手のほうが先に進化をすることができるため後手4ターン目以降はその差は縮まります。そして、お互いに進化権を使い切ると後手のターン中においては進化の価値ひとつ分(3~4PP相当?)後手が有利になります。とはいえ常に先にマナを使う機会を得るのは先手なわけで、総合すると先手有利でしょうか。

 

③ライフアドバンテージ・・・先手超有利

 Shadowverseは戦闘の選択権が攻撃側にあるゲームです。展開したフォロワーは守護を持たない限りブロッカーとはなれません。

 お互いに2ターン目に2/2のファイターを出し合ったとしましょう。3ターン目に先手プレイヤーはファイターで相手リーダーを攻撃します。殴り合いになると先に攻撃できる先手が有利となるため、返しに後手プレイヤーはファイターで相手ファイターに攻撃します。するとどうなるか。お互いに2PPとファイター1枚という同じものを消費し合ったにも関わらず、後手のリーダー体力だけが2減っており、先手は2点分のライフアドバンテージを得ているのです。守護や除去がない場合、この先手はリーダーを殴り後手は盤面を処理するというやり取りだけで後手が最初に進化できる頃には4~5点ほどのライフ差がついてしまうでしょう。

 また、Shadowverseには強力な疾走フォロワーが何枚も存在します。先手のほうが先に同じコストの疾走フォロワーを走らせられるという点も先手をライフアドバンテージにおいて有利にしています。

 

 

 こうして見ると、Shadowverseもカードアドバンテージにおいては後手有利でテンポやライフでは先手有利というMTGと同じようなあり方をしているように見えます。

 しかし、MTGと決定的に異なるのはその過剰さです。

 MTGもShadowverseでもカードアドバンテージにおいては後手が有利ですが、MTGの有利の度合いが1枚分に過ぎず先手でも自分のターン中であれば追いつけるのに対し、Shadowverseは有利の度合いが2枚分で先手が追いつくことはできません。

 ライフアドバンテージに関してもMTGが防御側に選択権のある戦闘ルールにより格差の大きさに歯止めをかけているのに対し、Shadowverseは攻撃側に選択権のある戦闘ルールのため歯止めがありません。進化も、盤面を取り返すことはできるものの(一部の例外を除き)ライフアドバンテージに干渉することはできません。

 Shadowverseは先手と後手のそれぞれに異なる過剰なまでの優位を与えることでバランスを図っているゲームだと言えるでしょう。そしてその目論見は構築戦の全体勝率という点では一定の成功を収めているようです。

 しかし、看過しがたい歪みがあることも事実です。

 

 そのひとつが2pickにおけるバランスです。2pickは後手が大きく有利であることはおそらく2pickをある程度やったことのあるプレイヤーであれば全員の同意が得られることでしょう。ではなぜ2pickは後手有利なのか。

 上で書いたように先手は巨大なライフアドバンテージを持ち後手は巨大なカードアドバンテージを持ちます。

 しかし、自分の思い通りにデッキを構築できない2pickではどうしても構築戦ほど綺麗に攻め切れるようにデッキを作ることはできず、ライフアドバンテージの重要性は低いものになります。

 そうなると勝敗を決する要素としてカードアドバンテージというものが非常に重要になるわけで、必然的に後手が有利になるわけです。2枚差というのはこれはもう絶望的なまでに大きな差ですから、2pickが後手有利すぎるという悲鳴の声が上がるのも当然のことでしょう。

 

 そしてもうひとつが各マッチアップにおけるバランスです。

 シャドレコによって単なる一般ユーザーであっても簡単に各デッキ、各マッチアップのデータを参照できるので、そのデータを見てみます。

 ここではアグロヴァンパイアの同型戦について見てみましょう。

 2/27~3/5のデータを見ると、全体では先手勝率56.8%(後手勝率43.3%)、Master帯では先手勝率59.2%(後手勝率40.5%)となっています。

 そしてアグロネクロの同型戦について同様に2/27~3/5のデータを見ると、全体では先手勝率59.7%(後手勝率40.5%)、Master帯では先手勝率65.3%(後手勝率35.4%)となっています。

 集計ミスのためかわずかに数字が噛み合わない部分もありますし、サンプル数が少ないために数字が極端に出てしまっている部分もあるとは思いますが、アグロヴァンパイア同型とアグロネクロ同型の試合はどちらも先手後手で勝率に10%以上の差があることは確かと言って良さそうです。

 こうなってしまっている理由は言うまでもなくライフアドバンテージが勝敗に直結するアグロデッキ同型戦では巨大なライフアドバンテージを持つ先手が極端に有利になるためです。

 

 そしてドロシーウィッチ。

 ドロシーウィッチは他のアグロデッキに比べると疾走や火力で出せるバーストダメージ量が少なく、先手を活かしてリーダー体力を攻め切るというプランが(できないことはないものの)成立しにくいデッキです。きちんと盤面を作る必要があるため、カードアドバンテージが重要となります。

 そして、スペルブーストという能力はその性質上手札が多いほど機能しやすく、後手のほうが強く使いやすいものです。

 このように複数の後手有利要素があるわけですから、同型戦で後手の勝率が極めて高いものになってしまうのも自然なことでしょう。

 ルーンの貫きがNerfされる前の2/20~2/27のドロシーウィッチ同型は、全体では先手勝率41.0%(後手勝率59.1%)、Master帯では先手勝率41.2%(後手勝率58.9%)となっていました。

 ではルーンの貫きがNerfされてどう変わったのか。2/27~3/5のデータでは、全体では先手勝率42.0%(後手勝率58.3%)、Master帯では先手勝率40.4%(後手勝率60.0%)となっています。ルーンの貫きのNerf理由には先手後手の勝率が開きすぎている問題への対処というものがあったはずですが、結果を見るとまるで変化はなかったようです。

 結局、先手後手で勝率が20%も違うのであればそこには構造的欠陥があると考えるべきで、1枚のカードを修正したところでたいした影響はないということでしょう。

 

 こうして見てみると、Shadowverseの先手後手にそれぞれ異なる過剰な優位を与えてバランスを取るという目論見は大きな問題を抱えたものだと言うべきようです。先手有利なデッキ、後手有利なデッキ、どちらでも戦えるデッキと様々なデッキが存在することで全体の数字だけを見るならば一見バランスが取れているように見えるものの、より細かく見ていくと先手後手というプレイヤーが干渉できない要素の勝敗への影響が非常に大きいものとなってしまっています。

 確かに、先手と後手の条件を完全に同じにはできない以上先手有利なデッキ、後手有利なデッキが存在するのは当たり前のことです。しかし問題はその程度です。先手有利のマッチアップで先手のほうが後手よりも5%勝率が高い程度だったらそれはそれほど問題とならないでしょう。しかし、この差が10%以上となると問題と言わざるをえません。

 

 振り返ると、失敗は先手の勝率が高すぎるという問題を受けてのルール変更にあったと思います。

 リリース当初のShadowverseでは、先手も後手も1ターン目に引けるカードの枚数は1枚だけでした。しかし、そのルールでは先手の勝率が約60%と非常に高いもので、その修正のために後手は1ターン目にカードを2枚引けるという現在のルールが付け加えられたという経緯があります。

 ここでの問題はそもそも後手は進化権が1回分多いためカードアドバンテージでは先手に負けていなかったということです。元々負けていなかった部分に補正を与え、先手が過剰に有利である箇所には補正を与えなかった。

 これによって元々先手が極めて有利だったアグロ同型においては先手有利が放置され、一方で2pickやドロシーウィッチのような過剰な後手有利を生む結果になってしまいました。

 すべきは先手の過剰な優位に対抗するために別の過剰な優位を後手に与えることではなく、先手が持つ過剰な優位をやわらげるような策を取ることだったはずです。そうしていれば現在の後手が先手よりも勝率が20%高いマッチアップが存在するというような異常な事態は防げたでしょう。

 長年MTGの開発者として働くマーク・ローズウォーター氏は「ユーザーは問題を見つけるのは上手いが提案する解決策はロクなものがない」という旨のことを発言しています。後手に手札1枚分の優位を与えるというのは多くのカードゲームで採用されているものであり、思いつきやすいものです。しかし、それは既に進化権が1回多いという優位が後手に与えられていたShadowverseにおいては相応しいものではなく、ユーザーの思い付きレベルの解決策に過ぎなかったのではないかと思います。

 

 

 

Hearthstoneの場合

 HSの場合、3つのアドバンテージのどれを見ても先手後手で極端に大きな差はないため細かく見ることはしません。HSは先手後手のバランスがかなり高いレベルで取れたゲームです。

 HSの抱える問題は先手後手の格差ではなく、序盤の展開で優位に立ったプレイヤーと出遅れたプレイヤーの格差です。

 HSではコインがあるため先手後手のどちらが序盤のリードを得るかは定まりません。その点は素晴らしい。

 問題は、序盤のリードがそのままゲームの勝敗に結びつく度合いが高すぎることです。

 HSで戦闘の選択権を持つのは攻撃側です。ですので、攻めに回るとひたすら有利なトレードを繰り返すことができ、有利の度合いを雪だるま式に膨らませていくことができるのです。実際の決着ターンが7や8だったゲームで、実質の決着ターンを振り返ると3ターンだったなと思うことは日常茶飯事です。つまり、非常に逆転が難しいゲームシステムになってしまっているということです。

 この問題はHSに触れたことがあるなら誰もが認識している問題ですから、後発のゲームはなんらかの解決策を用意しています。例えばShadowverseの進化システムは、出遅れたプレイヤーであっても戦闘の選択権を得られるものでありまさにこの問題に対して回答しています。鉄槌の僧侶のような強力な進化時能力持ちが用意されているのもこの問題に対する意識の表れと見ていいでしょう。

 そして、このブログはデュエルエクスマキナ攻略ブログなんでちょっとくらいはデュエルエクスマキナに触れると、デュエルエクスマキナもこの問題に対して綺麗な回答を持っていますね。デュエルエクスマキナは戦闘において攻撃側が攻撃対象を選ぶことができません。防御側がどこにユニットを配置するかでどのように戦闘が行われるかが決まる、防御側に選択権のあるルールとなっています。フィールドのマスを利用することでスマホで簡単に操作できるという点を崩さずに戦闘の選択権を防御側に持たせられるというのは最初に見たときに目から鱗のゲームデザインでした。